大谷有花 / ART BLOG
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VOCA賞やシェル美術賞:雑感
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先頃、ノーベル賞の授賞式がありましたが、国内外を問わず、年末のこの時期は各分野における様々な賞の発表がありますね。現代美術の分野でも、現代美術家の登竜門といわれる「VOCA(ヴォーカ)賞」の受賞者が発表されたり、10月に私が講評会のゲスト講師を務めた「ゼロ展」の受賞者による展覧会や有望な若手現代美術家の発掘を目的とした老舗の美術賞である「シェル美術賞」の受賞作品展が開催されたりと、華やかです。

今回で20周年を迎えるVOCA賞。その最高賞であるVOCA賞の受賞者は、鈴木沙也香さん。なんと、前回の鈴木星亜さんに引き続き今回も、わが母校、多摩美術大学の現役大学院生が連続の受賞となりました!また、私の知り合いの作家では、平子雄一くんがVOCA奨励賞に、吉田晋之介くんがVOCA佳作賞に輝くといううれしい結果になりました。各受賞作品を含め、計36点が出品される展覧会「VOCA展 2013」は、東京・上野の森美術館にて、2013年 3月15日(金)~3月30日(土)の会期で開催されます。それぞれの力作を拝見するのが今から楽しみです。
このVOCA展は、全国の美術館学芸員やジャーナリスト、研究者などによる作家推薦制の展覧会で、公募展とは異なり、誰でも出品できる展覧会ではないことから、若手美術家にとっては出品作家として選ばれるだけでもたいへん名誉なことで、それゆえ、現代美術家の登竜門的な存在となっています。
このVOCA賞ならびにVOCA展の運営を1994年の第1回開催より全面的にサポートしているのは、第一生命保険株式会社です。同社は毎回、VOCA賞とVOCA奨励賞の受賞作品を買い上げ所蔵し、東京・有楽町にある本社1階ロビーなどで随時展示しているほか、全入賞者に対して、同本社1階にある第一生命ギャラリーを個展の開催場所として提供するなど、手厚い作家支援を20年間継続しています。私自身も、2003年にVOCA奨励賞を受賞し、第一生命ギャラリーで過去に複数回、個展を開催させていただきました。第一生命保険株式会社の現代美術(特に、現代絵画)に対する継続的な支援には本当に頭が下がりますし、とても感謝しています。

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今年10月に、秋田県大館市で開催された「ゼロ展 2012」。私はご縁があり、会期中に催された公開講評会でゲスト講師を務めさせていただきました。この展覧会を主催したのは、大館をアートで盛り上げるために活動しているアーティスト集団「ゼロダテ」。大館市出身の美術家・中村政人さんが主宰されています。こちらは、VOCA展と違って、誰でも何でも出品できるとてもオープンな公募制の美術展で、作品のジャンルや質も、出品者の年齢も実に様々で、出品者それぞれの個性を存分に楽しめる展覧会となりました。この出品者の中から、優秀との評を得た2名のアーティスト(斉藤あづささんと村上美樹さん)が先日、東京・千代田区の3331 Arts Chiyodaにある「ゼロダテ・アートセンター東京」で、2人展を開催しました。今回は、ともに秋田県出身の若い女性でしたが、東京のメジャーなアートスポットで作品を発表したいと願う全国の若いアーティストにとって、このゼロ展はとても素晴らしい発表の機会を与えてくれる公募展だと思います。

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毎年恒例のシェル美術賞の受賞作品による展覧会は、「シェル美術賞展 2012」として、今年から東京・六本木の国立新美術館での開催となりました。会期中に拝見しましたが、展示会場がこれまでよりグレードアップしたことや今回の受賞作品以外にも、これまでの受賞者の未来を応援する企画として新たに「シェル美術賞 アーティスト セレクション(略称:SAS)」がスタートし、受賞後の作家活動のフォローもされるようになり、作家側としては、とてもありがたく喜ばしいことだと感じました。このシェル美術賞は、名称の変更や中断期間がありながらも、なんと、1956年から続いています。景気の変動などの諸事情により、これまでに生まれては消えていった幾多の美術賞を想うとき、このシェル美術賞の半世紀以上に渡る歴史は、まさに継続は力なりを実感させます。

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第一生命保険株式会社や昭和シェル石油株式会社のように、社会貢献活動の一環として芸術文化を積極的かつ継続的に支援しようという企業は、特にこの不況下においては、とても貴重で、芸術文化に関わる者にとってはたいへん心強い存在です。今年のロンドンオリンピックでの日本人のメダルラッシュは、国による選手のバックアップ体制が大幅に強化されたことが一因だとか。そのおかげで、これまであと一歩のところでメダルを逃していた選手たちが銅メダルにまで手が届いたということです。相応の環境が相応の結果を生む。支援体制が強固であればあるほど、才能の花が咲くのもより早く、また多くの可能性を逃さないということは、どの分野においても当然あると思います。優れた才能、能力を社会に生かすためには、結果が出る前にいかしてにそこに、官民を挙げて先行投資ができるかにかかっているのかもしれません。物的資源に乏しいこの国においては、人的資源、ことに芸術文化を含めた知的財産をもっと広く効果的に国益に生かす方法を考えることが、これから先も日本が世界に存在感を示していくためにも急務であり、そのためには可能性の種を植え、芽を育て、継続的に支援していく体制をしっかり構築する時期にきていると感じます。また、近頃はアートによる「まちおこし」や地域振興を狙った大規模なアート系イベントが国内各地で盛んに企画開催され、成果を上げているケースも多くありますが、もっと大きな規模でのアートによる「くにおこし」というのはどうでしょうね?

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今年2012年・シェル美術賞のキャッチコピーは、「そのキャンバスで世界を照らせ。」。ちなみに、私が本江邦夫審査員賞を受賞した2001年(1996年~2001年の名称は「昭和シェル石油現代美術賞」でした)は、21世紀の初年に相応しく、「21世紀をアートにするのは私です。」でした。その2001年の同賞展覧会カタログを見てみると、「シンポジウムに寄せて」と題した本江邦夫審査員のテキストに、<「絵画は終わった」との根拠の無い言説が一人歩きしている今こそ、洞窟壁画以来、数万年の歴史をもつ2次元的芸術形式の今後の可能性について、この機会に論じあうことができれば幸いです。・・・>と記されています。確かに当時、映像やインスタレーションなど、絵画以外の様々な芸術表現が脚光を浴び始める一方で、2次元的芸術の中心軸たる絵画が芸術表現の主役の座から転落するかのような言われ方を一部でされていました。しかし、それから10年以上経た現在でも、やはり絵画は2次元的芸術形式の雄として、その魅力を放ち続けています。これから後も、絵画という芸術表現は人類を魅了し続けることでしょう。そして、立体や映像、インスタレーションやパフォーマンスなどといった様々な芸術表現とクロスオーバーしながら、「絵画はさらに進化する」と信じています。

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私が来春から教鞭を執る予定の秋田公立美術大学では、様々な芸術的表現領域を跨ぐ新たな専攻システムが導入されます。これは「現代を表現する芸術」を生み出すために考え出された画期的でユニークな美術教育システムとして注目されるものになると思います。そして、ここで学ぶ学生には、この美術教育システムのもとで、自分自身のさらなる可能性を見出し、どんどん自身の表現を磨いていってほしいと思っています。また、在学中から各種の公募美術展にも積極的にチャレンジすることによって、「厳しい客観的評価に耐えうる表現とは」、「独創性とは」、どのようなものなのかを実践的に学び、やがては自分の活躍の場をたくましく自らの力で獲得していけるようなタフな表現者になってもらいたいと願っていますし、秋田公立美術大学に学ぶ意欲あふれる学生たちが飛躍できるよう、私自身も微力ながら、教員のひとりとして力を尽くしたいと思っています。
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by icarts | 2012-12-28 01:42 | Art